Chameleon

カメレオンの飼育方法

カメレオンの飼育法

(飼育用品は便宜上、(株)ジェックス社・ミタニ社及びレオレオカメレオンファームのオリジナル用品を参考に説明しています。他社製品もご利用ください。)

パンサーカメレオンやエボシカメレオンは飼育下での繁殖個体が多く流通しているため、ある程度状態の安定した個体の入手が可能です。

入手当初は、飼育するというより飼育環境に慣れさせるため、むやみに触れたりせず、落ち着かせることを優先しましょう。
その際、餌よりもまず水を必ず飲ませましょう。
具体的にはケージ内に一日数回霧吹きを使って観葉植物(人工も可)やケージ内部に水滴をつけます。加湿と飲み水提供が同時にできます。
霧吹きでの水飲みが安定してきたら、ドリップ式・エアレーション式の給水方法も併用できます。

状態が良いようであれば餌を与えても良いですが、捕食した後2~3時間はバスキングライトで消化のための体温上昇を助けましょう。夜間はしっかり暗くして休める環境を作りましょう。

入手後三日ほどたつと飼育環境に慣れ安定すると思われます。安定した個体は本来の色彩や行動を見せてくれます。ここからが本格的な飼育のスタートになります。

基本的な飼育温度

好適環境は22℃(バスキングライト常時点灯が条件)~28℃(これ以上は高温になるのでバスキングライトはオフ)
夜間は18℃でも平気ですが、湿度は、少なくとも40%以上が良いでしょう。レオレオカメレオンファームは、夜間40%~70%を維持しています。
しっとりとした湿度の温暖な気候を好むカメレオンには、低温低湿環境が厳しいので、エアコンで乾燥する冬や盛夏は加湿器利用が良いでしょう。

照明類のセッティング

照明の点灯時間は10~12時間です。
熱が出る照明器具をケージ内に設置するとカメレオンが火傷を負うので、ケージの外側から照明の光を提供します。
バスキングライトはケージの中央ではなく、ケージ内部に温度変化が出来るよう、端に設置します。

有益な紫外線の出る爬虫類専用ライト(蛍光灯:ジェックス EXO TERRA エキゾテラ GEX EXOTERRA レプタイルUVB100 26W  バスキングライト併用: ソーラーグローUV 80W 等)をメインに使用し、消化と代謝を助けるバスキングライト(GEX EXOTERRA サングロー バスキングスポットランプ 50W 等)

ケージとセッティング

生体の大きさに合わせたサイズを選択しましょう。
内部には隠れ家や水飲み場となる観葉植物などを設置します。
カメレオンは木の枝を握って生活するため、握れる太さの枝を設置します。

ネットケージならM(メスやパンサー雄の1歳以下)又はL(エボシカメレオン雄・パンサーカメレオン雄の生体はこのサイズ)
ガラスケージなら、ジェックス社エキゾテラ4560又は6060が良いでしょう。もちろん、これ以上のサイズは全て可です。
孵化して1~2か月の幼体時であれば、大きめのプラケースや衣装ケースでの多頭飼育も可能ですが、2か月も経つとオス同士のケンカや他の個体へのストレスがかかるので、そろそろ単独飼育する時期です。
生後3月以上の個体であれば専用ケージの出番です。

エサの種類とサイズ

イエコオロギであれば、与えるサイズはカメレオンの頭の大きさの半分から2/3程度が良いでしょう。フタホシコオロギは、必要によって後ろ足を取り除き大きすぎないようにしましょう。
本来カメレオンは比較的大きな昆虫もバリバリ食べますが、消化の時間はしっかりとらせないといけません。また、大量に大きな昆虫を食べると吐き戻したり、消化されない糞を排泄したりします。体力を消耗するので、食べすぎには注意してください。

※ちなみに餌コオロギにはレオレオカメレオンファームのクリケットフード等、良質のフードを与えましょう。栄養価の少ない昆虫をカメレオンは嫌います。

飲み水

水は水道水でも構いませんが、爬虫類用によくある浅い皿に入れても飲みません。カメレオンは臆病な性格でもあり、水を飲むために地面に降りたり飲む際に両目の焦点を水に合わせたりすることを嫌います。
周囲を観察しながら水を飲むには、地面より比較的高い位置に水飲み場を設置しなくてはなりません。
そのため、観葉植物やケージの壁に水滴をつけたり、ドリップを使ったり、エアレーションを用います。

サプリメント

飼育下では多種類の昆虫を食べることが出来ません、そのため例えばコオロギ単食の場合、必要な栄養素が偏ってしまい、成長不良を起こすなど問題が出る場合があります。
そのような問題を解決するため、30年前より各社からサプリメントが商品化されています。しかし、サプリメントは使えばよいというものではなく、良質なものを選択し適切な使用法を守ってほしいです。
レオレオカメレオンファームでは、20年以上前より飼育の難しいカメレオンのために獣医師とともに栄養添加剤を手作りしていました。当時のカメレオンは長期飼育だけでなく繁殖も難易度が高かったのです。孵化してもうまく育ちませんので、当初は販売されていた他社サプリメントを使用しましたが、効果が限定的で使いにくい物でした。
そのため、カメレオンなどの昆虫食爬虫類に適した栄養素をアメリカやドイツの獣医師と意見交換し、国内医薬品メーカーの協力のもと10年ほどの研究期間と試用を続け完成したものがVMCサプリメントシリーズです。
VMCサプリメントは、毎日使っても弊害の無いメイン(2種類のカルシウムと吸収剤)を主として、メインを核に必要なビタミンなどを吸着させた、肉食・昆虫食用のプレミアムと草食用のサラダを開発しました。

VMCメイン
VMCメインは、ペットに負担が無く、もっとも効率の良いカルシウム摂取を考え作り出された常用性のサプリメントです。
毎日使用しても害の無い、自然界由来ビタミンとミネラルが入った基本サプリメントです。
VMCプレミアム
トカゲや蛇などの昆虫肉食性爬虫類は、リクガメやイグアナなどの草食性動物とはその食事内容から、食事以外(サプリなど)で必要とする栄養素が異なります。
VMCプレミアムは、昆虫食・肉食爬虫類が要求する栄養素に配慮し、養殖された餌では摂取されにくいカルシウム・多種類のビタミン・ミネラルを効率よく配合しました。
VMCサラダ
VMCサラダは、野菜等により摂取出来るビタミンA(βカロチン)を必要最小限添加し、ビタミンD3は極少量ブレンド。
ヨウ素などの甲状腺障害を予防するミネラル分も必要量を安全に摂取することができます。

カメレオンにはVMCメインを週に6日、週に1回 ビタミン入りのVMCプレミアムを使用します。
プレミアムの使い過ぎはビタミン過剰症の弊害が出る恐れがありますので、用法は守っていただきたい商品ですが、そもそも効果のないサプリメントは意味が無いので弊害が出るかもしれないが、効果の期待できるサプリメントを選んでもらいたいと思います。

パンサーカメレオン

カメレオン科学名:Furcifer pardalis

Panther

マダガスカル原産でカメレオン界のスター☆大人気のパンサーカメレオンです。
生息する地域により多くの色彩変異を見せ、流通名を区別する事が出来る爬虫類も珍しいものです。青系は基調色をグリーンからブルーとする個体群です。赤系は、興奮時にグリーン系の体色をオレンジ~赤まで変化させます。
本種は幼体から育て上げる事も比較的易しい為、今後もカメレオン飼育の中心となる事でしょう。

飼育法

飼育温度
■22℃~32℃(日中)  ■15℃~22℃(夜間)
夏場と冬場は基本温度を変えても良いが、夏季以外はホットスポットを要する。
生息環境が、山間部ではなく海岸線に沿っている。本種は、温暖な気候を好み暑さと多湿には強いようである。また、寒さにも耐性があると言う大変丈夫なカメレオンである。
しかし、出来る限り暖かめの環境で飼育してあげるべき種であり、暖かさを好み寒さには耐えられる・・と理解しておくとよい。低温低湿な環境は好まない為に、温度管理はしっかりしてあげると、調子を落とさず飼育できる。
湿度
1日に最低1回は、ある程度の湿度を霧吹きで提供する(早朝、夕方に実施)。
蒸れないように通風に配慮する。但し、ファンなどを使うと乾燥し過ぎる事があるため、使用中は湿度管理に気をつけたい。消灯後はファンなどは止めた方が良い。1日中多湿な環境は避ける。
エサ
アゴの力が強く、食用旺盛な個体が多い。成体であれば大き目のフタホシコオロギも難無く食べてくれる。
主なエサは・・フタホシコオロギ、イエコ、シルクワーム、バッタ類等。
飲み水
新鮮な飲み水を毎日与える。ドリップ式やブクブクでも良いが、朝夕の霧吹きは欠かさないようにしたい。
繁殖
本種の繁殖に関して、オスとメスの産地を必ずそろえてもらいたい。改良品種を作らない事がパンサーカメレオンマニアの暗黙の了解であり、ローカリティを大切にしてほしいと願う。
ローカリティごとに色彩の特徴があるため、その特徴をより鮮明にする繁殖は良い方向性と思う。

生後約1年経つと性成熟する。
オスとメスの相性が必要なため交尾はタイミングも必要。
メスの体色が黒っぽい場合はオスの交尾を受け入れない。
やや、ピンク色になったメスは交尾することが多い。

交尾後単独飼育に切り替え、25日から30日後に土に穴を掘り約12から25個の卵を産卵する。

卵は、25℃から26℃の温度で管理すると6ヶ月から10ヶ月後に孵化となる。
高温管理では卵が孵化しないため、夏場は飼育ルームの温度を下げるかインキュベーターの使用をお勧めする。

孵化後3日経つと捕食を開始するため、孵化4日目よりイエコなら2令程度の小さいコオロギを与えてみよう。
コオロギには良質のサプリメントを使用する事が健やかな成長につながる。
この時期は、レオレオカメレオンファームのVMCメインとプレミアムを強くお勧めしたい。

飲み水は霧吹きで与えると良い。

幼体の飼育環境は親個体に準ずるが、ケージは大きなプラケか衣装ケースでも良い。
親個体に使っているケージだと広過ぎてエサコオロギを捕食し難い。

当然ながら、親個体との同居は厳禁。親に餌と間違えられて食べられてしまう。

雌雄で成長に差が出るため、孵化後1ヶ月程度で雌雄が分かればオスとメスを分けよう。
孵化後2ヶ月程度で単独飼育に切り替えます。特にオスはそろそろケンカが始まります。

エボシカメレオン

カメレオン科学名:Chamaeleocalyptratus

Calyptratus

ほぼ繁殖個体が流通しているが、生息地はアラビア半島の最南端、イエメン共和国。
乾燥した雨量の少ない地方である。

飼育法

飼育温度
■22℃~32℃(日中) ■15℃~22℃(夜間)
夏場と冬場は基本温度を変えても良いが、夏季以外はホットスポットを要する。
湿度
1日に最低1回は、なるべく朝と夕方ある程度の湿度を霧吹きで提供する。
蒸れないように通風に配慮する。但し、ファンなどを使うと乾燥し過ぎる事があるため、使用中は湿度管理に気をつけたい。消灯後はファンなどは止めた方が良い。1日中多湿な環境は避ける。
エサ
コオロギを個体のサイズに合わせて与える。
ヤングの頃から植物食の傾向が強くなり、観葉植物の葉も食べるようになる。
果物なども個体によっては好む事から、積極的に与えるようにする。

ベビーの頃は食べるだけ与えて良い。
成体は昆虫類の与えすぎにより肥満個体になり、早死にする事がある。

主なエサは・・フタホシコオロギ、イエコ、シルクワーム、バッタ、果物、毒素の無い葉類等。
飲み水
新鮮な飲み水を毎日与える。ドリップ式やブクブクでも良いが、朝夕の霧吹きは欠かさないようにしたい。
繁殖
本種の繁殖は比較的容易な事から、ペア飼育することが多いと思われる。
繁殖に際して注意事項があるので、参考にしていただければ幸いである。

生後1年未満の個体は、雌雄同居させないようにする。(最低10ヶ月は必要)
本種のメスは生後6ヶ月を越すと交尾をしなくても無精卵を持ちやすい。
しかし、飼育下での6ヶ月個体は性成熟しているようでもあるが体の準備が整っていない。
その状態で卵を持つと、母体に負担がかかりマレに産卵障害を引き起こすことがある。

成体のオスはメスに対してとても乱暴な行動をとる。
妊娠したメスは、体色を変化させ直ぐにそれと分るようになる。
約1ヶ月の妊娠期間を経て、予め用意された産卵床を掘り20個~40個の卵を産卵する。
孵化までの期間は管理温度に左右される。卵は26℃~28℃の範囲で管理する。
6ヶ月~10ヶ月で孵化に至る。

カメレオンの
病気とケガの対処

カメレオンは他の爬虫類に比べ比較的繊細でストレスに弱い生き物です。
環境の変化にも注意が必要ですが、入手直後はむやみに触ったりせず環境に慣れるまでそっとしておきます。
環境に慣れてきても、よく観察してください。
いつもより食べない、元気がない、目を閉じて動かないなど気になる症状があれば、入手したショップに尋ねることも良いでしょうし、病気やケガだと判断したら爬虫類に詳しい獣医師の診察を受けることをおすすめします。

病気について

カメレオンの病気には、細菌や寄生虫による感染症、呼吸器疾患、消化器障害などさまざまなものがあります。特に、湿度や温度の管理不足はカメレオンの免疫力低下を招きやすく、感染症のリスクが高まります。目を閉じている、鼻水や口呼吸などの症状が現れる場合は、感染症や呼吸器系のトラブルが疑われます。こうした場合は、なるべく早く専門医の診断を仰ぎ、必要に応じて目の洗浄や投薬や点滴といった治療を受けましょう。

呼吸器感染症で目を閉じたカメレオン
エサで防ぐ

また、エサの選び方や与え方にも注意し、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。ビタミンやカルシウム不足は、クル秒などを発症することがありますので、サプリメントは必ず使ってください。

衛生管理

ケージの衛生管理を怠らず、定期的な清掃と水の交換を徹底することで、多くの病気を予防できます。定期的にエキゾジアでケージを除菌するなど衛生管理を実施してください。

呼吸器感染症

目を閉じていたり動きが悪かったりする場合は感染症かもしれません。多くの場合は、乾燥や低温による、人間でいえば風邪の症状に当たります。
飼育温度を上げ湿度をかなり上げてみてください。
換気が良くないからと言って、扇風機やエアコンの風が直接ケージ内に入る環境だと、乾燥して体調を壊します。カメレオンにとって過ごしやすい環境を提供してください。
呼吸器感染症の対処は通院が必要です。抗生剤を処方してもらってください。

抗生剤
目が閉じている場合は、飼育者で目の洗浄が出来るのであれば、効果手的ですから実施してみてください。
火傷やケガについて

照明器具などで火傷を負った場合は、治るまでエキゾジアなどで除菌を繰り返し(1日に3~4回患部をスプレー)二次感染を防ぎましょう。ケガも同様ですが、骨折などは放置せず通院してください。

寄生虫について

昆虫食の生体ですから寄生虫は少なからず体内に存在するものと考えてください。
元気な生体と共生している寄生虫は必ず駆虫しなければならないのではありません。しかし、駆虫した方がその後の飼育に安心感が持てますので、定期的な糞検査で駆虫を実施しても良いと思います。
その際の駆虫は必ず糞検査を依頼した獣医師の処方と指示のもと行ってください。

ワイルドの生体は、様々な寄生虫が体内に存在します。皮下に目立つ皮下線虫(フィラリア)の駆虫は少し面倒ですが、根気よく行えばある程度駆虫は可能です。皮下に目立つフィルリアは切開して除去し、体内に潜むフィラリアは飲み薬で対処します。

フィルリアに感染したカメレオン

ギョウ虫、回虫、糞線虫などは飲み薬で対処します。
寄生虫は皆さんの周囲にも存在しています。必要以上に神経質にならなくても良いですが、特に生体を触った後は良く手を洗いましょう。

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